オートファジー?抗老化研究センター開設記念キックオフシンポジウム 奈良県立医科大学 大和漢方医学薬学センターは、漢方医学?薬学の教育、研究、診療の充実を目的として2014年(平成26年)に設立されました。以来、奈良県が推進する「漢方のメッカ推進プロジェクト」と連携し、県民の健康増進や地域の活性化に貢献しながら、漢方医学の発展に取り組んできました。この10年間で、当センターの活動はさらに広がり、多くの実績を積み重ねています。1. 漢方医療の普及 当センターは、漢方医療の普及啓発を目的とした教育活動を積極的に展開してきました。特に、附属病院における「漢方外来」の充実を図り、診療科を超えた漢方医療の導入を促進しました。地域医療機関とも連携し、漢方専門医の育成や、エビデンスに基づいた漢方治療の確立を目指しています。2. 教育活動の充実 医学科の講義として、「漢方医学の基礎」「臨床漢方」の授業を継続 オートファジー?抗老化研究センターは、奈良県立医科大学初の本格的な研究センターとして2024年4月に設置されました。私(中村修平、生化学講座教授)がセンター長を拝命し、杉江和馬先生(脳神経内科学講座教授)に副センター長をお引き受けいただいています。当センターでは、特に細胞内分解システムとして知られる「オートファジー」に着目した最先端の老化研究を推進し、得られた知見をもとに将来的にはヒトの老化や疾患の抑制につながる新たなシーズ創出を目指しています。この目的のため、当センターが学内共同研究や産学連携のプラットフォームとして機能し、基礎、臨床講座や民間企業と緊密な共同研究を進めています。2024年4月には山下 真奈良県知事やオートファジーの世界的権威で、2016年にノーベル生理学?医学賞を受賞された東京科学大学の大隅良典先生をお招きしてキックオフシンポジウムを奈良県コンベンションセンターで開催しました。続く2024年5月には第一回オートファジー?抗老化研究して実施し、未来の医療人材に漢方の知識を提供しています。また、漢方専門医を目指す医師や薬剤師向けの「大和漢方医学薬学セミナー」を定期的に開催し、実技研修を含めた実践的な教育プログラムを強化しました。3. 今後の展望 今後は、地域資源を活かした漢方薬の研究開発の推進、国際的な漢方医学ネットワークの構築を視野に入れながら、エビデンスに基づく漢方医療の確立を目指します。また、地域の医療機関との連携を強化し、患者にとってより身近な漢方医療の提供を推進していきます。 この10年間の成果を活かし、大和漢方医学薬学センターは、これからも奈良県立医科大学の理念のもと、漢方医学の発展と地域社会への貢献を続けてまいります。HPhttps://naramed-autophagy.jpセンター特別講演として、老化研究の世界的権威であるワシントン大学今井眞一郎先生にご講演を賜りました。センターの取り組みは読売新聞や日経トレンディーなどの媒体でも紹介され、大きな注目を集めています。2024年6月にはセンター選任のスタッフとして井本ひとみ講師が着任しました。現在は生化学講座のスタッフもセンターのスタッフを兼任し、センター長、副センター長、講師2名、助教2名、技術職員2名、教務職員1名の体制で研究活動を推進しています。今後ますます学内、学外との共同研究を発展させ、オートファジーに着目した、抗老化、健康長寿実現に繋がるシーズ創出を目指してまいります。55大学の組織大和漢方医学薬学センターセンター長/細井 裕司オートファジー?抗老化研究センターセンター長/中村 修平
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